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フリーランスの消費税が免税または、納税になる基準について解説します。インボイス制度の影響と申告方法もまとめました。フリーランスで消費税の納税が義務となる対象者はぜひご確認ください。
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目次
インボイス制度が導入されたことによって、消費税の税額計算方法が大幅に変わりました。
今回は、「自分が消費税をどれくらい払うのか知りたい」「クライアントに送付する請求書に消費税を含めていいのか分からない」といった疑問を抱えているフリーランスに向けて、消費税とインボイス制度について解説します。
消費税の申告・納税の義務を負う条件や、確定申告で消費税を申告する具体的なやり方を紹介します。
この記事を読むことで、消費税の仕組みや正しい確定申告のやり方が理解できるでしょう。インボイス制度への対策やクライアントとの間で起こる消費税の問題も事前に、押さえておくことができます。
消費税は国内における品物やサービスなど、消費に対して公平に負担する義務がある税です。また、国税と地方税を合わせて消費税として扱われています。
例えば、商品を生産して消費者の手に渡る場合、流通に係るコストとして消費税分が商品に加算されます。そして、最終的に消費税を負担するのは消費者です。
フリーランスの場合、事業者としてクライアントに労働を提供し報酬を得た時、売上高に対して消費税が課税されます。
ただし、消費税の納付が義務付けられているのは、課税事業者のみであり、すべてのフリーランスに納税義務があるわけではありません。
出典:No.6101 消費税のしくみ|国税庁
出典:No.6102 消費税の軽減税率制度|国税庁
フリーランスが請求書を作成する際に、「消費税を含めて請求して良いのか」迷う人もいるでしょう。結論からいうと、フリーランスが取引先に送付する請求書には、原則、消費税を含めて作成します。
請求書を作成する際には、消費税額が分かるように「本体価格」と「消費税」をわけて記載してクライアントに明示しましょう。
消費税の記載方法は、内税でも外税でも、税額がしっかり記載されていればどちらでも構いません。
まずはフリーランスに消費税納税の義務はあるのか、という点について説明していきます。
消費税とは商品の購入やサービスを受けた際に発生する間接税を指します。間接税とは納税者が直接納税しない税金のことを指し、逆に所得税のように直接納税するものを直接税と呼びます。
基本的にフリーランスは事業をする者として、顧客から消費税を「受け取る」側です。この受け取った消費税を国に納める必要があるかが、ある一定の条件に基づいて決まることがポイントです。
すべてのフリーランスに消費税の納税義務があるわけではありません。消費税の納税が義務付けられているのは「課税事業者」であり、免税事業者であるフリーランスは免除されます。
消費税の納税が必要 | 課税事業者のフリーランス |
消費税の納税が免除される | 免税事業者のフリーランス |
しかし、フリーランスの消費税の納税義務に関しては、細かい条件が設けられているので、詳しく解説していきます。
出典:国税庁「消費税のしくみ」
下記に該当するフリーランスおよび個人事業主は、消費税の納税が必要になります。
個人事業者の課税期間は、1月1日から12月31日までの期間です。つまり2年前の1月1日~12月31日までの間の課税売上高が1000万円以下であれば消費税を納税する必要はありません。なお、年の中途で新たに事業を開始した場合や事業を廃止した場合においても、課税期間の開始の日は1月1日、終了の日は12月31日です。
また、課税売上高とは「消費税の課税対象」となる取引で発生した売上高のことを指します。これには通常の仕事の取引で発生した売り上げに加え、事業用建物の売却など事業に付随する取引など、ほとんどの取引にかかわる売上高が課税売上高に該当します。
逆に「消費税の課税対象にならない」取引の例としては、土地の貸付による賃料収入や住宅の賃料収入、銀行の受取利息などが挙げられます。
2年前の1月1日~12月31日までの課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(前年1月1日から同年6月30日までの期間)の課税売上高が1,000万円を超えるフリーランスエンジニアは、消費税の課税事業者に該当します。
しかし、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額によることもできます。つまり特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、特定期間中の給与等支払額が1,000万円を超えていなければ免税事業者と判定できます。
2023年10月1日から導入されたインボス制度に対応するために、適格請求書発行事業者に登録したフリーランスも多いでしょう。
この場合、売上高に関わらず課税事業者になるため、消費税の納税義務が生じます。
ただし、インボイス制度を機に課税事業者になった場合は、経過措置として消費税負担を軽減できる「2割特例」が適用されます。負担を大きく軽減できるので、後述する2割特例について理解しておきましょう。
一方で、下記に該当するフリーランスおよび個人事業主は、消費税の納税が免除されます。免税事業者に当てはまるフリーランスの特徴は下記の通りです。
【消費税の納税が免除されるフリーランス】
ここでは、納税義務があるフリーランスに向けて、消費税の計算方法を紹介します。納税する消費税を計算する際には、3種類の課税方式のなかから選択する必要があります。
簡易課税方式とは、中小企業の事務負担を減らすために設けられた制度です。
インボイス制度に対応するために、課税事業者になったフリーランスは、軽減措置である2割特例が適用されます。2割特例は、預かった消費税の8割分の控除が受けられることが特徴です。
前述した条件のいずれかで基準を満たした場合、フリーランスエンジニアでも確定申告で消費税を申告する必要があります。個人事業主の場合、年末を区切りとして1月から12月までの総納税額を計算し、3月31日までに消費税の確定申告を行います。
消費税には「国税」と「地方税」が含まれていますが、申告・納付ともに同じ書類で行うことができます。確定申告の大まかな流れとしては、以下のようになります。
消費税の納税と確定申告の提出期間は、課税期間終了日の翌日から2ヶ月以内となっています。
なお、フリーランスエンジニアをはじめとした個人事業主の課税期間は1月1日から12月31日までで、翌年の1月1日から3月31日までに納税と申告を済ます必要があります。
1年間の課税売上高が1,000万円強となるフリーランスエンジニアは、「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」を提出します。
しかし1月1日~6月30日の半年間の課税売上高が1,000万円強だった場合は「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」の方を提出する必要があります。
基準期間用と特定期間用は記入項目に特に違いはありませんが、該当する売上高を元に計算をするため、用紙を間違えると正しく手続きができない可能性があります。また法人の場合のみ記入する項目もあるため、用紙の種類と記入欄の確認はしっかりと行ってください。
なお、「消費税課税事業者届出書」の提出を忘れた場合でも、自動的に課税事業者にはなります。しかし消費税の還付が受けられないなどのデメリットがありますので、くれぐれもご注意ください。
課税方式とは、納付する消費税を計算する方式を意味し、本則課税と簡易課税という2つの方法があります。特に選択をしなければ原則課税となりますが、前々年の課税売上高が5,000万円以下であれば簡易課税を適用できます。
フリーランスエンジニアのように経費が少ない事業主は簡易課税を選択した方が有利な場合が多くなります。
本則課税による消費税の計算方式は、「クライアントから受け取った消費税額」から、「控除対象仕入税額」を引くと算出できます。
控除対象仕入税額とは、商品・サービスが完成するまでにかかった金額の消費税分のことです。例えば仕事で必要な商品を1,000円で購入した場合、支払う金額は消費税込み1,100円になりますが、この消費税分100円が控除対象仕入税額に当たります。
これに対して簡易課税は「クライアントから受け取った消費税額」のみから納付税額を計算します。
計算方法は「受取消費税-受取消費税×みなし仕入率」です。この「みなし仕入率」は業種によって変わりますが、システムエンジニアは第5種事業のサービス業にあたりますので、みなし仕入れ率は50%になります。
先ほど経費が少ない場合は簡易課税の方が有利になると説明しましたが、例として年間の課税売上高が1500万円(受取消費税150万円)、経費(課税仕入)が300万円(支払消費税30万円)の場合で計算すると、それぞれの納付税額は以下の通りとなります。
ご覧のとおり簡易課税の方が45万円少なくなります。
前述した通り、特に選択をしなければ原則課税となりますので、簡易課税を選択する場合は、事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
注意が必要な点としては、その年の課税期間が終了してから、本則課税と簡易課税の両方を計算し有利な方を選択するということはできないということです。原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届け出を提出する必要があります。
また簡易課税を適用した場合には、2年間は本則課税に変更できません。
確かに経費が少ない場合は簡易課税が有利となりますが、先々のことまで考え、慎重に検討することが重要です。
課税方式が決まったら、今度は消費税額を計算します。消費税の課税額を計算する際は、国税と地方税も同時に算出しておきます。
標準税率では消費税10%のうちの7.8%が国税、残り2.2%が地方税になり、軽減税率8%では消費税8%のうちの6.25%が国税、残り1.76%が地方税です。
なお、実際に納付するときは消費税と地方消費税を分けて納付する訳ではなく、一緒に所管税務署へ納付します。
計算が終わったら、申告書に記入を行います。納税地や名称、氏名に付記事項などを記載し、税務署に申告して課税額を納税します。
繰り返しになりますが、フリーランスエンジニアは3月31日までに確定申告を行わなければいけません。ギリギリに申告しようとすると、フリーランス事業者が税務署に大勢いる場合があるため、なるべく早い時期に確定申告を行いましょう。
課税売上高に係る消費税よりも経費で支払った消費税が多かった場合、確定申告をすることで税金が還付されます。
しかし、消費税の還付を受けられるのは、課税事業者あるいは課税事業者となることを選択した事業者です。還付される金額は、売り上げとして受け取った消費税から仕入れなどの費用に含まれる消費税を差し引いた金額となります。
当年の課税売上高が1,000円を下回り、消費税の申告義務がなくなった場合は、当年度中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を税務署に提出することで、翌年から消費税の免除を受けられます。
上記した「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合も、再び免税事業者に戻るためには「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があります。しかし「消費税課税事業者選択届出書」の手続きをした場合は、2年の期間は変更ができないというデメリットがあります。
利用する際は注意してください。
専用のツールを使い、消費税の申告額の計算すると便利です。最近はインターネットで検索すれば、評判の良い計算ツールが比較的簡単に見つかります。
例えば、フリーランスエンジニアにおすすめの計算ツールに「会計ソフトfreee」というものがあります。
こちらは消費税率10%と、軽減税率の8%の両方に対応しているため、消費税の計算が難しい人におすすめです。
最後は消費税についてフリーランスエンジニアが注意すべき点や、クライアントとの問題について記載していきます。
所得税の確定申告と消費税の申告は異なる
報酬を受け取る際に、消費税と売上高はあらかじめ分けて記載します。これは請求書を作成するときもそうですが、消費税額と純粋な対価を分けて記載しておかないと、確定申告の際に面倒なことになるからです。
特に単価数が多いフリーランスエンジニアは、後で計算をしようとすると、膨大な量の計算を行う羽目になりかねません。消費税額と対価は分けて記載してまとめておきましょう。
意外と見落としがちですが、内税と外税の混合には気を付けましょう。特に単価数が多いフリーランスエンジニアは、会計ソフトへの入力の際に設定を間違ってしまい、総額が変わってしまうことがあります。入力の前はもちろんのこと、後にも必ず設定を確認するようにしましょう。
またクライアントから仕事を請ける際も、内税と外税をはっきりさせた方がよいです。同じ報酬10万円の仕事であっても、内税か外税かによって得られる収入が1万円も変わってくるからです。
クライアントとの契約時には、必ず消費税について取り決めておきます。上記しましたが、提示された報酬額が10万円でも、内税か外税かによって手取りが異なってくるからです。
きちんとしたクライアントであれば問題ありませんが、中には消費税の知識がないフリーランスエンジニアに故意に内税で報酬額を提示して、減額してくる悪質なクライアントも存在します。後々報酬のことで揉めないように、予め外税で報酬額を提示する等、徹底して保険をかけておいてください。
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クライアントへの請求書には純粋な報酬額と消費税は分けて記載すると、それぞれの額の計算がしやすくなります。
品目 | 単価 | 数量 | 価格 |
システム設計費 | 340,000 | 1 | 340,000 |
小計 | 340,000 | ||
消費税 | 34,000 | ||
合計 | 374,000 |
このように、依頼された仕事の品目・単価・数量・価格を左から順に記載していき、その下に小計・消費税・合計の順番で書いていくのが一般的な書き方です。
附帯税 | 詳細 |
延滞税 | ・期限超過の日数分が課せられる ・納期限翌日から2ヶ月を過ぎた場合税率が上がる |
無申告加算税 | ・納税すべきであった税額に対し、下記のように課せられる 50万円までは15% 50万円を超え300万円までの部分は20% 300万円を超える部分は30% |
過少申告加算税 | ・収める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合に修正申告よりも前に税務署から調査・更正の連絡があった場合に課せられる |
重加算税 | ・特に悪質だと判断された場合に課せられる ・期限内申告できれば納付すべき税額の35%、期限後申告となると40%が課せられる |
インボイス制度の導入によってフリーランスは、さまざまな影響を受けることとなります。
おもに、下記の2点が大きく変わるポイントだといえるでしょう。
インボイス制度の影響を理解するためには、仕入税額控除について知っておく必要があるのであわせて解説します。
仕入税額控除は納付する消費税の内、課税売上高に係る消費税から課税仕入額に係る消費税を差し引くことを指します。
そして課税仕入れの対象は、事業のための商品や備品などの購入や他の事業者からサービスを受けることなどが挙げられます。この仕入税額控除によって、生産や流通などの取引が発生する度に消費税が積み重ならないようになっています。
フリーランスで下記に該当する場合は、課税事業者となり、消費税の申告が義務付けられます。
これらに該当しない場合は、免税事業者となり、消費税の申告および納税義務はありません。クライアントに請求する消費税はそのまま受け取ることができます。
インボイス制度導入後も、上記の課税事業者になる基準には変更がありません。ただし、インボイスを発行する事業者となった場合は、課税売上高や給与額に関係なく、消費税の申告・納税義務が発生します。
2023年10月以前は、課税事業者は消費税を算出する際に、課税売上の消費税から課税仕入れの消費税額を仕入れ控除として差し引くことができました。しかし、インボイス制度が導入されてからは、発注者が仕入額控除を受けるためには、委託先から交付されたインボイスが必要になります。
委託先が免税事業者の場合はインボイスを発行できないため、課税事業者と比較して不利な状況になるでしょう。そのため、仕入税額控除には下記の措置や特例が設けられました。
これらの措置や特例については、時限や事業者の要件があるのでしっかりと確認しましょう。
フリーランスは、消費税についてしっかりと理解して必要に応じて納税する必要があります。しかし、周りにフリーランスとして活動する人がいない場合、誰に相談すればいいのか分からず困ってしまうこともあるでしょう。
ここでは、フリーランスが躓きやすいポイントを下記の項目にわけて解説します。気になる項目をチェックして、消費税に関する疑問や不安を解消しましょう。
フリーランスは、クライアント企業に対して、消費税を請求することができます。
消費税法第四条により、消費税を請求しないという行為は違法行為にあたるので、請求書作成時には、消費税をしっかりと明記しましょう。
出典:消費税法
フリーランスが時給制で業務委託契約を締結した場合も消費税を請求することができます。
例えば、時給1,000円で働いた場合、1時間あたり100円の消費税を受け取る義務があります。
個人事業主として仕事を請け負っている免税事業者は、消費税を納める義務がありません。ただし、年間の売上高が1,000万円を超える場合は、消費税の納税が必須となります。
フリーランスが消費税を納税するタイミングは、その年の3月31日までです。所得税の確定申告が3月15日までであるのに対し、消費税の確定申告は少し長く設定されています。
万が一申告が遅れたり忘れたりすると、附帯税が課せられるので注意しましょう。
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フリーランスの確定申告に必要な源泉徴収と消費税の関係を解説|注意点は?
今回はフリーランスエンジニアに向けて消費税のポイントを解説してきました。
課税方式ひとつを取っても選択次第で有利・不利があり、フリーランスとして活動するからには、税金についても真剣に考える必要があることがご理解いただけたかと思います。
2023年10月から導入が開始されたインボイス制度の影響もあり、ますます複雑になる税制ですが、読者の皆様はリサーチを怠ることなく、自身に最適な方法を見つけていただければと思います。
※本記事で記載している情報、制度などにつきましては、2024年4月22日時点を基準としています。最新の情報については、国税庁のサイトでご確認ください。
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