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確定申告はいくらから必要?確定申告しなくていい金額や条件を解説

フリーランスエンジニアが確定申告する際、いくらから申告必要かご存知でしょうか。本記事ではケース別の申告の有無や青色申告について紹介しています。フリーランスエンジニアの確定申告について疑問や不安がある方は、ぜひチェックしてみてください。

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目次

「フリーランスの確定申告っていくらからする必要があるの?」「フリーランスが確定申告をしないとどうなる?」「確定申告が必要なケースを知りたい」といった疑問や不安を持つ人もいるのではないでしょうか。


この記事では、フリーランスで確定申告が必要な収入額や、確定申告する際の注意点などを紹介しています。また、確定申告が不要な条件や、未申告の場合はどうなるのかについてもまとめました。「白色申告」と「青色申告」の違いも説明しているので、自身に合った選択ができます。この先、フリーランスとして活躍したいと思っている方や、すでに活動している方はぜひ本記事をチェックしてみてください。


フリーランスはいくらから確定申告が必要?

フリーランスとして活動を開始した時や、収入が増えてきた時などに「フリーランスはいくらから確定申告が必要なのか」気になる人も多いでしょう。


結論からいうと、フリーランスとしての所得が48万円を超える場合は確定申告が必要になります。しかし例外もあるので、ここで詳しく解説していきます。

フリーランスは原則確定申告が必要

フリーランスは原則として確定申告が必要です。例外として、事業年度における所得が基礎控除の48万円以下である場合は、所得税が課税される金額が0円になるため確定申告の必要がありません。


つまり、収入(売上高)から必要経費を差し引いた所得金額が48万円を超えるかどうかが、フリーランスの確定申告が必要となるラインの1つになります。


ただし、所得が48万円以下でも、還付申告(更正の請求)や純損失の繰越控除(赤字繰越)などの適用を受ける場合は確定申告が必要です。


出典:No.1199 基礎控除|国税庁

1年間の所得が48万円超

フリーランスの所得が48万円を超える場合は確定申告が必要です。


事業年度における所得が基礎控除の48万円を超える場合は、所得税が課税される可能性があるため確定申告をしなければいけません。


所得税は、収入(売上高)から必要経費と基礎控除などの所得控除を差し引いた課税所得に税率を乗じた値から税額控除を適用して求められます。


所得税 = 課税所得(売上高 - 必要経費 - 所得控除) × 税率 - 税額控除


確定申告には青色申告と白色申告があり、それぞれ提出書類や保存帳簿などに違いがあります。


青色申告の記帳方法は複式簿記で仕訳帳と総勘定元帳を作成する必要(65・55万円青色申告特別控除の要件)があり、白色申告の簡易簿記に比べて経理処理が複雑です。


しかし、青色申告は青色申告特別控除(65万円、55万円、10万円)や純損失の繰越控除(赤字繰越)などを受けられるメリットがあります。


青色申告は、複式簿記での記帳が簡易簿記に比べて複雑である以外のデメリットはないため、積極的に利用しましょう。


出典:国税庁「所得税のしくみ」

【フリーランス向け】確定申告が必要となるケース

確定申告が必要となる場合をケース別にみていきます。働き方や収入で当てはまるものがあれば確認しておきましょう。


収入によって確定申告が必要であるかどうかが決まります。いくらから確定申告が必要かも合わせてみていきましょう。会社員でも場合によっては確定申告が必要となるので、確認してみてください。

フリーランスや個人事業主

フリーランスや個人事業主は、原則として確定申告が必要です。

「フリーランスはいくらから確定申告が必要?」にて先述したとおり、例外として事業年度における所得が基礎控除の48万円以下である場合は確定申告の必要がありません。


基礎控除は確定申告をすることなく受けられる所得控除ですが、そのほかの所得控除や税率控除などの適用を受ける場合は、確定申告が必要になるので注意しましょう。


出典:国税庁「No.1199 基礎控除」

出典:確定申告が必要な方|国税庁


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不動産や譲渡所得などの所得があった人

不動産の貸付による不動産所得や売却による譲渡所得など、事業年度における所得の合計額が基礎控除の48万円を超える人は確定申告が必要です。

具体的には、事業年度における所得の合計額に所得控除や税額控除を適用させて算出された所得税額から配当控除額を差し引いて残額がある場合に確定申告が必要になります。

1.  事業年度における所得の合計額を算出
2.  所得の合計額から所得控除を差し引いて課税所得額を算出
3.  課税所得金額に所得税の税率を乗じて所得税額を算出
4.  所得税額から配当控除額を差し引く
5.  所得税の残額がある場合は確定申告が必要

以上の流れで、事業年度における所得の合計額から所得税の残額があるか確認をしましょう。


出典:No.1300 所得の区分のあらまし|国税庁

公的年金が一定額ある人

公的年金が一定額ある人は、原則として確定申告が必要です。具体的には、事業年度における公的年金等の雑所得のみの所得から所得控除を差し引いて算出される課税所得額に残額がある場合は、確定申告が必要になります。


ただし、例外として「確定申告不要制度」の対象となる場合は、所得税の納税がある場合でも確定申告は必要ありません。


【確定申告不要制度の対象となる条件】

1.  公的年金等の雑所得のみの収入金額が400万円以下で源泉徴収を受けている

2.  公的年金等の雑所得以外の所得金額が20万円以下


以上の2つの条件を満たす場合は、確定申告不要制度により確定申告が不要となります。


出典:ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度|政府広報オンライン
参照:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201212/1.html

本業以外で20万円を超える収入がある人

会社員でも、副業など本業以外の収入が20万円を超える場合には確定申告が必要です。本業以外での収入が対象となるため、ブログでのアフィリエイト収益、フリマやオークションでの利益も対象となります。


具体的には、本業が会社員(給与所得の全額が源泉徴収の対象)で、副業として所得があり、必要経費を差し引いた総所得額が20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。


1. 本業(会社員)以外にフリーランスや個人事業主としての収入がある

2. フリーランスや個人事業主としての収入から必要経費を差し引いて総所得額を算出

3. フリーランスや個人事業主としての総所得額が20万円を超える場合は確定申告が必要


以上の流れで本業(会社員)以外のフリーランスや個人事業主としての収入から、総所得額が20万円を超えるか確認をしましょう。


出典:確定申告が必要な方|国税庁

株取引で一定の利益がある人

株取引で一定の利益がある人は、原則として確定申告が必要です。具体的には、口座の種類や取引額などで確定申告が必要かどうか異なるので注意しましょう。


株取引の口座には、特定口座、一般口座、NISA口座があります。特定口座とは、金融商品取引業者等が1年間の売買損益を計算した特定口座年間取引報告書により、確定申告を簡単におこなえる口座のことです。


そして特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類の口座があり、源泉徴収ありの特定口座を選択した場合は、金融商品取引業者等が所得税や住民税を源泉徴収するため確定申告は不要になります。


一方で、源泉徴収なしの特定口座を選択した場合は、金融商品取引業者等が作成した特定口座年間取引報告書に基づき、利益が20万円を超える際は確定申告が必要です。


また、特定口座で管理していない株取引などをおこなう一般口座の場合は、1年間の売買損益をご自身で計算して、利益が20万円を超える際は確定申告が必要になります。


NISA口座の場合は、非課税保有期間における年間非課税投資枠の範囲内であれば、利益が出ても確定申告は不要です。


ただし、NISA口座の場合でも配当金を株式数比例配分方式以外の方法で受け取る場合や非課税期間が終了した場合は、確定申告が必要になるケースもあります。(2024年からの新NISAでは、非課税保有期間が無期限になります)


しかし、確定申告が不要な場合でも、譲渡損失の損益通算や繰越控除が受けられるメリットもあるので、ご自身の状況に応じて判断をしましょう。


出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

出典:株式・配当・利子と税|国税庁

懸賞金や払戻金などの一時所得があった人

懸賞金や払戻金などの一時所得がある人は、原則として確定申告が必要です。一時所得は、競馬や競輪など公営競技の払戻金や生命保険や損害保険などの満期返戻金のような、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得のことを指します。


一時所得額は、総収入から収入を得るために支出した金額と特別控除額(50万円)を差し引いて算出され、さらにその2分の1に相当する額が総所得額に加算されます。


そのため、一時所得額の計算上、一時所得の総収入が年間50万円(特別控除額)を超える場合に確定申告が必要です。


1.  事業年度において営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得がある

2.  一時所得の総収入が年間50万円を超えている


以上の2つの条件を満たす場合は、確定申告が必要となります。


出典:国税庁「No.1490 一時所得|国税庁」

出典:No.1300 所得の区分のあらまし|国税庁

給与所得が2,000万円以上ある人

給与所得が2,000万円以上ある人は、年末調整の対象外となるため確定申告が必要です。


具体的には、会社員が副業としてフリーランスや個人事業主としても活動しており、本業の給与所得が2,000万円(給与所得の全額が源泉徴収の対象)を超える場合は、副業の所得が20万円以下でも確定申告が必要になります。


確定申告が必要な給与所得額は、源泉徴収される前の額面上の金額が2,000万円を超える場合が対象になるので注意しましょう。


1. 本業(会社員)の給与所得が2,000万円(給与所得の全額が源泉徴収の対象)を超える

2. 副業でフリーランスや個人事業主として活動している

3. フリーランスや個人事業主としての所得を問わず確定申告が必要


給与所得が2,000万円(給与所得の全額が源泉徴収の対象)を超える場合は、フリーランスや個人事業主としての所得を問わず確定申告が必要となることをおさえておきましょう。


出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

出典:年末調整の対象となる人|国税庁

扶養に入っている専業主婦(夫)の場合

扶養を受けている専業主婦(または専業主夫)が、パート・アルバイト以外に20万円を超える所得がある場合やフリーランスや個人事業主として48万円を超える所得がある場合は、確定申告が必要です。


「フリーランスや個人事業主」「本業以外で20万円を超える所得がある人」で先述したとおり、一定の条件を満たすため確定申告が必要になります。


1.扶養を受けている専業主婦(または専業主夫)である

2.パート・アルバイト(給与所得の全額が源泉徴収の対象)のほかに20万円を超える所得がある

3.または、フリーランスや個人事業主としての所得が48万円を超える場合は確定申告が必要


以上の流れで、扶養を受けている専業主婦(または専業主夫)のフリーランスや個人事業主としての所得に対する確定申告が必要であるかどうかを判断しましょう。


2か所以上から給与を受けており源泉徴収の対象となるのに年末調整をしていない人

ダブルワークなどで、2か所から給与を受けており、源泉徴収の対象となるのに年末調整をしていない人は、確定申告が必要です。


具体的には、年末調整されていない給与所得とフリーランスや個人事業主としての所得の総所得額が20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。


1.  2か所以上から給与を受けている

2.  1つの事業者で年末調整を受けている

3.  年末調整されていない給与所得とフリーランスや個人事業主としての所得の総所得額が20万円を超える


以上のとおり、2か所以上の事業者から給与を受けている場合は確定申告が必要となります。


確定申告をしなくていい金額はいくら?

収入額や働き方によっては、確定申告しなくていいケースもあります。収入がいくらまでの範囲で働いていれば確定申告をしなくてよいのか、みていきましょう。


フリーランスでも確定申告が必要ないケースもあるため、確認しておくとよいでしょう。

【フリーランス】フリーランスなどで所得が48万円以下の人

フリーランスや個人事業主としての所得が48万円以下である場合は、確定申告は不要です。

基礎控除は誰でも確定申告なしで受けられる所得控除で、フリーランスや個人事業主としての総所得額から48万円が差し引かれます。

そうすると、フリーランスや個人事業主としての所得が48万円以下である場合は、課税所得金額が0円になるため所得税の確定申告は必要ありません。


出典:No.1199 基礎控除|国税庁

【副収入】副収入が20万円未満の人

フリーランスや個人事業主としての副業収入が20万円以下である場合は、確定申告は不要です。


この場合は、本業で給与所得(給与所得の全額が源泉徴収の対象)がある人が副業でフリーランスや個人事業主として所得を得ているケースになります。


また、本業とは別に2か所以上の事業者から給与を得ている人も、同様に、副業の給与所得が20万円以下である場合は確定申告は不要です。


出典:確定申告をする必要がない方|国税庁

【会社員】会社で年末調整をしている人

会社員が年末調整をしている場合は、確定申告は不要です。


しかし、会社員が年末調整をしている場合でも、先述のとおり2か所以上の事業者から20万円を超える給与を得ているケースや、フリーランスや個人事業主としての副業収入が20万円を超える場合は確定申告が必要です。


また、年末調整では申請できない所得控除(医療費控除、寄附金控除、雑損控除)や住宅借入金特別控除などの適用を受ける人は、確定申告を提出しましょう。


出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

【公的年金受給者】400万円以下で源泉徴収をうけている

公的年金受給者の場合は400万円以下の受取額で、かつその公的年金の全部が源泉徴収の対象であれば確定申告は不要です。ただし、公的年金の受給以外の所得が20万円未満の場合に限られます。


そのため、公的年金を400万円以下で受給していても、そのほかに20万円以上の給与所得や配当所得、一時所得がある場合には確定申告が必要となってくるので注意しましょう。


また「確定申告不要制度」の対象となる場合でも、所得税の納税が生じる可能性がある点もおさえておきましょう。


出典:公的年金等を受給されている方へ|国税庁

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対象外であっても確定申告をした方がよいケース

確定申告がいくらから必要になるのかを働き方もあわせてみてきました。必要なケースと不要なケースを説明しましたが、確定申告が不要でもした方がよい場合もあります。


確定申告により税制メリットが受けられたり、払い過ぎた税金が戻ってきたりする場合もあるため、チェックしておきましょう。

還付申告により払い過ぎた税金(所得税及び復興特別所得税)が返ってくる場合がある

払い過ぎた税金が還付される場合があるので「還付申告(更正の請求)」をしましょう。

確定申告対象外でも、以下のような人で、源泉徴収されたまたは予定納税した税金が過払いである場合には、還付申告により税金が還付されます。

還付申告は法定申告期限に関係なく、対象となる事業年度の翌年1月1日から5年間までの期間に申請が可能です。

下記に該当する人は、確定申告対象外でも確定申告を提出しましょう。

  • 年間の所得が一定額以下である人
  • 給与所得者で、雑損控除、医療費控除、寄附金控除や要件を満たす税額控除を受けられる人
  • 公的年金等など雑所得のみの所得の人で、要件を満たす所得控除を受けられる人
  • 年の中途で退職した後就職しなかった人で、給与所得の年末調整を受けていない人
  • 一定の要件を満たしたマイホームの取得にともない住宅ローンがある人
  • 退職所得がある人で、退職所得以外の総所得から所得控除を差し引くと赤字になる人
  • 退職所得がある人で、退職所得の受給に関する申告書を提出しなかった人など


赤字だったフリーランスや自営業の人

フリーランスで48万円以下の収入であれば確定申告は必要がありません。ですが、必要ではないというだけで、赤字だとしても確定申告をした方がよいのです。


赤字となった場合は確定申告として損失申告を行います。そうすると損益通算が可能となります。これは、損失をほかの所得の黒字と相殺できるというものです。ある所得で損失が出たとしても、そのほかの所得で黒字があれば、その黒字で赤字を相殺できます。


ただし、損益通算できる所得の種類は決まっているので、該当する所得があるか確認してみましょう。また、繰越控除ができます。翌年以降に赤字を繰り越すことができ、数年間黒字と相殺できます。


出典:No.2250 損益通算|国税庁

源泉徴収を受けている人

源泉徴収を受けている人は確定申告をした方がよい場合があります。源泉徴収とは、給与を支払う際にあらかじめ所得税などを差し引いて国に納める制度のことです。そのため、場合によっては税金を払い過ぎている可能性もあります。


確定申告できちんと納税額を申請すれば、払い過ぎた金額が還付されます。フリーランスで仕事をしている場合はとくに、受注した仕事は源泉徴収を受けているかどうかをチェックしておきましょう。

別途住民税の申告をしたくない人

会社員で確定申告が必要ない場合、住民税の納付も会社が代わりに行ってくれます。ですが、それ以外のケースで確定申告をしない場合、別途住民税を申告しなければなりません。


フリーランスや個人事業主で確定申告を提出した場合は、そこで住民税の計算も行われるため、別途の申告が必要なくなります。


フリーランスや個人事業主はあらゆる手続きを自分で行う必要があるため、一つでも申告は減らしたいものです。確定申告をうまく活用して手続きをスムーズに完了させましょう。


出典:所得税の確定申告と住民税の申告について|中野区
出典:岩手県 個人市民税/申告が必要な人・しなくてもよい人

年度の途中で退職した人

年度の途中で年末調整をしないまま退職した場合も確定申告をすることで、払い過ぎていた税金が還付される可能性があります。


退職後、ほかの会社に転職する場合は、転職先の会社で年末調整をしてもらえるので確定申告は原則必要ありません。ですが、退職後にフリーランスや個人事業主になる、もしくは専業主婦・主夫になる場合は年末調整が行われないため、確定申告をした方がよいでしょう。


出典:No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき|国税庁

フリーランスが確定申告をするメリット



フリーランスとして活動する人が確定申告をすることで、各種控除を利用して節税できたり、経費として計上できるものが増えたりといった利点があります。


確定申告を行うメリットを理解しておくことで、日々の領収書の管理や整理にも意識が向き、より正確かつ確実に申告できるようになるでしょう。

控除を利用すると節税につながる

フリーランスが確定申告をすると、控除を利用できて節税につながるメリットがあります。


所得税は、収入(売上高)から必要経費と基礎控除などの所得控除を差し引いた課税所得に税率を乗じた値から税額控除を適用して求められます。


所得税 = 課税所得(売上高 - 必要経費 - 所得控除) × 税率 - 税額控除


所得控除と、税額控除などを適切に活用して課税所得額を軽減することが大切です。


【所得控除の控除15種類】

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除


【税額控除】

配当控除、住宅借入金等特別控除、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅等新築等特別税額控除、分配時調整外国税相当額控除、外国税額控除、政党等寄附金特別控除、など


また、確定申告を青色申告すると受けられる青色申告特別控除(65万円、55万円、10万円)や、純損失の繰越控除(赤字繰越)などを受けられるメリットもあります。


出典:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

出典:No.1200 税額控除|国税庁

事業に使用した費用は経費として計上できる

フリーランスが確定申告をすると、事業に使用した費用は経費として計上できるメリットがあります。


先述のとおり、所得税は収入(売上高)から必要経費と基礎控除などの所得控除を差し引いた課税所得に税率を乗じた値から税額控除を適用して算出可能です。


そのため、事業に使用した費用は漏れなく必要経費として計上することで、課税所得額の軽減につながります。


確定申告を青色申告で提出すると、30万円未満の事業に用いる資産を一括で減価償却できる、個人と事業用で共用利用している費用(自宅兼事務所家賃・光熱費など)を簡単に家事按分(業務用の比率分を経費として計上)できるなど、必要経費を最適化可能です。(平成18年4月1日から令和6年3月31日までに取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産)


さらに、青色事業専従者給与で生計同一家族への給与が上限なしで全額必要経費に計上できます。(専従者給与として妥当性のある金額が条件)


フリーランスで確定申告をする場合は、事業に使用する必要経費を多く計上できる青色申告で提出しましょう。


出典:No.2070 青色申告制度|国税庁

出典:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

収入証明書として役立つ

フリーランスが確定申告をすると、収入証明書として役立つメリットがあります。


フリーランスは、会社員や法人に比べて社会的信用が低くなるという欠点があります。とくに確定申告をしていないフリーランスは、第三者に対して財務状況を伝えることができません。


そのため、フリーランスが政策金融支援機構や銀行などから借入をする、また不動産を賃貸するなどの信用情報取引をする場合に、収入や所得の証明が難しくサービスが受けられない可能性があります。


フリーランスや個人事業主が確定申告を提出することにより、収入や所得など財務状況が明瞭化され、社会的信用が高められるので、結果的にご自身の収入の証明ができるようになるでしょう。

初めてでも安心!フリーランスが確定申告をする流れ


フリーランスとして活動するうえで、確定申告はどのように進めるべきか悩む人も多いでしょう。ここでは、確定申告の手順を分かりやすく説明するので、フリーランス歴の浅い方に必見です。

1.  確定申告の申告方法を決める

確定申告の申告方法は、白色申告と青色申告に大きく分けられます。

白色申告は「簡易的に申告できる」メリットがありますが、税制上の優遇措置が受けられないデメリットがあるのが特徴です。

一方で青色申告は「税制上の優遇措置が受けられる」メリットがありますが、定められた提出書類、保存帳簿、記帳方法により申告をしなければいけない(申告作業の負担が大きい)デメリットがあります。

下記より「申告のしやすさ」と「税制上の優遇措置」とを比較して、確定申告の申告方法を選択しましょう。


申告方法による違い青色申告
(65・55万円控除)
青色申告
(10万円控除)


白色申告


税制上の優遇措置


・65・55万円青色申告特別控除
・3年間の純損失の繰越控除(赤字繰越)
・青色事業専従者給与を必要経費にできる
・10万円以上の事業資産を一括で減価償却できる(30万円未満)

・10万円青色申告特別控除
・3年間の純損失の繰越控除(赤字繰越)
・青色事業専従者給与を必要経費にできる
・10万円以上の事業資産を一括で減価償却できる(30万円未満)

・10万円以上の事業資産を一括で減価償却できない(10万円未満)
申請


必要
事業年度の3月15日までに「青色申告承認申請書」「開業届」を税務署に申請

不要

電子申告

電子申告(65万円控除の場合)
不要
提出書類


・確定申告書B
・青色申告決算書
・貸借対照表
・損益計算書
・第三表
・第四表
(第三表、第四表は対象者のみ)
・確定申告書B
・青色申告決算書
・損益計算書
・第三表
・第四表
(第三表、第四表は対象者のみ)


・確定申告書B
・収支内訳書


保存帳簿


・総勘定帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・経費帳

・法定帳簿
・任意帳簿

電子帳簿優良な電子帳簿保存(65万円控除の場合)不要
記帳方法複式簿記
簡易(単式)簿記

2. 確定申告書の作成方法を決める

確定申告書の作成方法は、おもに4つあります。

  • 国税庁 確定申告書作成コーナーで作成
  • 確定申告ソフトで作成
  • 確定申告書を手書きで作成
  • 税理士に依頼する

下記より、それぞれのメリットとデメリットを比較して、確定申告の作成方法を選択しましょう。

作成方法確定申告書作成コーナー
確定申告ソフト
確定申告書を手書き
税理士に依頼
詳細

国税庁のサイトで必要事項を入力して確定申告書を作成する会計・確定申告ソフトで銀行口座などを連携して確定申告書を作成する

確定申告書を取得して手書きで作成する

確定申告に必要な書類や情報を税理士に提供して作成・提出を代行してもらう
メリット・案内に沿いながら簡単に進められる
・確定申告会場などでサポートを受けながら申告できる
・簿記・会計の知識がなくても使用できる
・スムーズに仕分けできる
・確定申告に関する知識が身に付く
・税務署で直接相談しながら申告できる
・手間が省ける
・正確な申告
・税制上の相談が可能

デメリット
サイトのユーザビリティが低い

一部サービスが有料
時間がかかる

費用がかかる

3. 確定申告の申告書類を準備する

確定申告の申告書類は、申告方法により異なります。

以下は、青色申告、白色申告、還付申告(更正の請求)そして全申告共通のおもな必要書類や詳細についてまとめています。

申告内容
必要書類詳細
青色申告青色申告決算書


・損益計算書の細目(売上・給与など)
・損益計算書の細目(主に減価償却、地代家賃)
・損益計算書(損益計算書情報、基本情報)
・貸借対照表
白色申告収支内訳書


事業年度の収入と支出の内訳を記載した書類


還付申告(更正の請求)銀行口座情報

還付金の受取りを銀行振込にした場合
全申告共通確定申告書
確定申告書B
本人確認書類以下のどちらか
・マイナンバーカード
・個人番号がわかる書類と身分確認書類(保険証・パスポート・運転免許証・在留カードなど)
また、適用される所得控除に必要な書類も準備しておきましょう。

とくに、雑損控除、医療費控除、寄附金控除の所得控除や、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、確定申告で申請しなければいけないので、適用がある人は注意しましょう。

4. 確定申告の申告書類を作成して提出する

「2.確定申告書の作成方法を決める」でも先述したとおり、確定申告書の作成方法は、おもに4つあります。

  • 国税庁 確定申告書作成コーナーで作成
  • 確定申告ソフトで作成
  • 確定申告書を手書きで作成
  • 税理士に依頼する

確定申告書が完成したら、税務署に提出をします。

【確定申告を税務署へ提出する方法】
  • e-Taxなどで電子申告する
  • 税務署の開庁時間内に持参する
  • 信書便により税務署に郵送する
  • 税務署の時間外収集箱に投函する

提出方法が電子申告でも、税務署への郵送や持参の場合でも、24時間いつでも申告書を提出することが可能です。

5.税金の還付を受ける・税金を納付する

確定申告を提出した後は、税金を納付する必要があります。令和5年分の確定申告の税金の納期限を下記にまとめたので参考にしてみてください。


  • 所得税等:令和6年3月15日(金)
  • 消費税及び地方消費税:令和6年4月1日(月)
  • 贈与税:令和6年3月15日(金)


また、確定申告をした結果、税金の還付を受けることもあります。還付金の支払手続きには、おおむね1か月から1か月半程度の期間を要する可能性があるので、あらかじめおさえておきましょう。


なお、還付金の受取りは、預貯金口座への振込みと最寄りのゆうちょ銀行各店舗または郵便局で

受け取る方法があります。


公金受取口座を登録している人は、令和5年1月より公金受取口座への振込みを指定することが可能です。


出典:【税金の納付】|国税庁

出典:【税金の還付】|国税庁

フリーランスが確定申告しなかったらどうなる?

フリーランスが確定申告をしないとどうなるのでしょうか。ペナルティとして無申告課税や、延滞税、重加算税などが課せられる恐れがあるので、必ず押さえておきましょう。

無申告課税が課せられる

確定申告の対象であるフリーランスが確定申告をしないと、無申告課税が課せられます。無申告課税とは、確定申告を法的期限までに提出しない場合に課せられる加算税のことです。


ただし、確定申告を法定期限までに提出できない正当な理由がある、または法定申告期限から1か月以内に期限後申告を自主的にする場合は、無申告課税の不適用の要件に当てはまります。


しかし、正当な理由がないにもかかわらず法的申告期限までに確定申告を提出しない場合、単純無申告犯で刑事罰に科せられることになるので注意が必要です。


出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

出典:申告納税制度|国税庁

確定申告をしなかった期間に対して延滞税がかかる

確定申告の対象であるフリーランスが確定申告をしないと、延滞税が課せられる可能性があります。


延滞税とは、定められた期限までに税金が納付されない場合に、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて利息に相当する税額が自動的に課されることです。


確定申告を提出しない場合、所得税、住民税、個人事業税、消費税、固定資産税の正確な税額が確定しないので、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税が課せられます。


出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

出典:No.9205 延滞税について|国税庁

悪質な場合は重加算税が発生する

確定申告の対象であるフリーランスが隠蔽または仮装により法定申告期限までに確定申告を提出しない場合は、無申告課税に代えて40%の税率による重加算税が課せられます。


また、期限後申告の日から5年以内に、同様の税目において無申告課税または重加算税を課されたことがある場合は、50%の税率による重加算税(40%+10%)が課せられるので注意が必要です。


出典:加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし|国税庁

出典:無申告事案における重加算税の賦課要件|国税庁

フリーランスが確定申告をおこなう上での注意点


フリーランスとして働くにあたって、切っても切れないのが確定申告の手続きです。とくに、フリーランスになって初めて確定申告を行う人や、これからフリーランスとして活動を考えている人は、ここで紹介する注意点を確認しておきましょう。


確定申告の時期になってからの準備では間に合わないこともあります。事前に確定申告をする上での注意点を確認しておきましょう。

申告方法は1つではないことを把握しておく

フリーランスは、確定申告の申告方法が1つではないことを把握しておきましょう。確定申告の申告方法は、白色申告と青色申告に大きく分けられます。


白色申告と青色申告の最も大きな違いは、税制上の優遇措置を受けられることです。そのため、多くの事業者は税制上の優遇措置を受けるために青色申告を選択しています。


白色申告と青色申告の代表的な違いは以下のとおりです。


申告方法による違い

青色申告
(65・55万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告

税制上の優遇措置


・65・55万円青色申告特別控除
・3年間の純損失の繰越控除(赤字繰越)
・青色事業専従者給与を必要経費にできる
・10万円以上の事業資産を一括で減価償却できる(30万円未満)

・10万円青色申告特別控除
・3年間の純損失の繰越控除(赤字繰越)
・青色事業専従者給与を必要経費にできる
・10万円以上の事業資産を一括で減価償却できる(30万円未満)

・10万円以上の事業資産を一括で減価償却できない(10万円未満)


申請必要
事業年度の3月15日までに「青色申告承認申請書」「開業届」を税務署に申請

不要
電子申告
電子申告(65万円控除の場合)不要
提出書類

・確定申告書B
・青色申告決算書
・貸借対照表
・損益計算書
・第三表
・第四表
(第三表、第四表は対象者のみ)
・確定申告書B
・青色申告決算書
・損益計算書
・第三表
・第四表
(第三表、第四表は対象者のみ)

・確定申告書B
・収支内訳書


保存帳簿
・総勘定帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・経費帳

・法定帳簿
・任意帳簿


電子帳簿
優良な電子帳簿保存(65万円控除の場合)
不要
記帳方法
複式簿記
簡易(単式)簿記

また、確定申告を提出した後に申告内容に誤りがあることに気づいた場合に提出する、「訂正申告(申告期間内)」「修正申告(法定申告期限後)」「更正の請求(法定申告期限後)」という申告方法もあります。


それぞれの申告の用途や時期を下記にまとめました。


申告の違い
訂正申告

修正申告

更正の請求
(還付申告)
申告内容
申告期間内に申告内容に誤りがある場合
法定申告期限後に申告内容に誤りがある場合
法定申告期限後に申告内容に誤りがある場合
申告が必要な人申告内容に誤りがある人
本来よりも納税額を少なく、還付額を多く申告した人
納めすぎた所得税及び復興特別所得税の還付を受ける人
申告時期


申告期間
(事業年度の翌年2月16日から3月15日)
法定申告期限後
(事業年度の翌年3月15日以降)
法定申告期限後
(対象事業年度の翌年1月1日から5年間)

更正の請求(還付申告)は法定申告期限に関係なく、対象となる事業年度の翌年1月1日から5年間までの期間に申請が可能です。


フリーランスは、確定申告の申告方法を把握し、申告用途や時期に応じた申告をするようにしましょう。


出典:No.2070 青色申告制度|国税庁

出典:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁

確定申告の申告時期を把握する

フリーランスは、確定申告の申請時期を把握しておきましょう。フリーランスや個人事業主の確定申告の法定申告期限は、原則として事業年度の翌年3月15日です。


そして、確定申告の申告期間は事業年度の翌年2月16日から3月15日までとなります。


「フリーランスが確定申告しなかったらどうなる?」にて先述したとおり、法定申告期限までに確定申告を提出しない場合は、無申告加算税(重加算税を含む)や延滞税を課せられるので注意が必要です。


また、確定申告を提出した後に申告内容に誤りがあることに気づいた場合は、申告期間内であれば「訂正申告」、法定申告期限後であれば「修正申告」または「更正の請求」の提出が必要となります。


出典:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁

出典:【申告が間違っていた場合】|国税庁

申告時は漏れや虚偽がないようにする

フリーランスは、確定申告の申告時は漏れや虚偽がないように注意しましょう。確定申告の対象者のなかには、融資審査や社会的信用を向上させるために虚偽の申告をする人がいるようです。


「フリーランスが確定申告しなかったらどうなる?」にて先述したとおり、確定申告に申告漏れや虚偽(隠蔽や仮装)がある場合は、加算税や延滞税が課されるので注意が必要です。


また虚偽申告は、虚偽申告犯で刑事罰に科せられる可能性もあるので、かならず正しく申告書に記載しましょう。

出典:No.9205 延滞税について|国税庁

出典:申告納税制度|国税庁

日ごろからこまめに帳簿をつけるようにする

フリーランスは、日ごろからこまめに帳簿をつけるように心がけましょう。


確定申告をするには、お金の動きを記録する帳簿をつけなくてはいけません。また、経費としてお金がかかったときには、領収書の取得と保管も必要です。


訂正申告や確定申告後に修正申告や更正の請求もできますが、手間や余計な費用が発生するので日ごろからこまめに帳簿をつけて、申告漏れがないようにしましょう。


会計ソフトを使えば、面倒な作業を自動化することができ、サポート体制も充実しているので疑問が出てきても問い合わせが可能です。


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【監修あり】フリーランスの帳簿のつけ方は?基本的な流れや役立つものも紹介

青色申告を利用する

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。節税のメリットがあるのが青色申告で、最大65万円を所得から差し引くことが可能です。


青色申告は白色申告と比べて、以下のような税制上の優遇措置が受けられるため、推奨されています。


  • 65万円(10万円)青色申告特別控除
  • 3年間の純損失の繰越控除(赤字繰越)
  • 青色事業専従者給与を必要経費にできる


ただし、青色申告は白色申告と比べて開業届と青色申告承認申請書を提出している、複式簿記の方法を選択しているなどの要件があります。なお、青色申告するための帳簿付けは確定申告ソフトを使えば、知識がなくても簡単に作成できます。


出典:No.2070 青色申告制度|国税庁

出典:No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度|国税庁


フリーランスの青色申告に必要な条件とは


ここでは、フリーランスが青色申告するにあたって必要な準備について詳しく解説します。単式簿記と複式簿記のどちらで帳簿付けするのが良いのかなど、これから青色申告するために必要な条件を確認していきましょう。

開業届と青色申告承認申請書を提出している

フリーランスエンジニアが新たに確定申告時に青色申告する場合、申告する年の3月15日まで、その年の1月16日以降に新しく不動産を借りた場合は、新しく借りた不動産で事業を開始する日に青色申告承認申請書の提出が必要です。


フリーランスエンジニアとして新規開業する場合、開業してから1ヵ月以内に開業届を、2ヵ月以内に青色申告承認申請書を提出することで、青色申告が可能となります。


出典:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

出典:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

出典:No.2070 青色申告制度|国税庁

複式簿記で帳簿付けしている

青色申告では、原則として複式簿記での仕訳が求められます。これは、複式簿記の方が単式簿記よりも正しい事業状態の判断が付きやすく、問題点も見つけやすいためです。


さらに、帳簿をもとにして正しく申告することで、青色申告の特典である「青色申告特別控除」が受けられます。


この帳簿書類は、原則として7年間保存が必要とされていますが、書類によっては5年間の保存でも構いません。


出典:No.2070 青色申告制度|国税庁

【2024年最新】令和5年分の確定申告のポイント


事業年度令和5年(2023年)分の確定申告における所得税の変更点と、その変更が確定申告書などにどのように反映されているのかを解説します。

申告書 第二表の親族欄の書き方の変更

令和5年分の所得税等の確定申告書では、第二表の親族欄(配偶者や親族に関する事項20〜23)の書き方の変更があります。


これまで(令和4年12月まで)は、扶養控除の対象となる国外居住親族等の要件が年収48万円以下の16歳以上の扶養親族適用とされていました。


しかし、令和4年度税制改正により令和5年1月からは、扶養控除の対象となる国外居住親族等の要件が以下のように変更されています。(国外居住親族にかかるる扶養控除は令和5年1月以後に支払を受けるべき給与等または公的年金等から適用されます。)


  • 年齢16歳以上30歳未満の人
  • 年齢70歳以上の人
  • 年齢30歳以上70歳未満の者のうち、次の①から③までのいずれかに該当する人

①留学により国内に住所および居所を有しなくなった人

②障害者

③その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上

受けている人


出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

出典:令和5年1月からの国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)|国税庁

申告書 第二表の特定株式の収入に関する「申告不要制度」の記入欄が削除

令和5年分の所得税等の確定申告書では、第二表の特定株式の収入に関する「申告不要制度」の記入欄が削除されます。


この変更は、令和5年分の所得税の確定申告から上場株式などの配当所得や譲渡所得、特定公社債などの利子所得についての課税方式が所得税と個人住民税で統一されたことが要因です。


そのため、今後は所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択することはできないので注意しましょう。


出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

出典:株式・配当・利子と税|国税庁

申告書 第四表の特定非常災害の被災者の方用の付表

令和5年4月1日以降に発生した特定非常災害の被災者が損失申告をする場合は、申告書 第四表(損失申告用)付表(特定非常災害の被災者の方用)を使用するように変更されています。


特定非常災害とは、政府により指定される非常災害のことです。


令和5年度の法改正により、特定非常災害による損失(純損失および雑損失)の繰越控除期間が、3年間から5年間に延長されました。


出典:所得税及び復興特別所得税の_申告書(損失申告用)付表(特定非常災害の被災者の方用)(令和5年分用)の書き方|国税庁

青色申告決算書・収支内訳書がインボイス制度に対応した用紙に変更

令和5年分の青色申告決算書・収支内訳書がインボイス制度に対応した用紙に変更されています。


インボイス制度に対応した青色申告決算書には、「売上(収入)金額の明細」「仕入金額の明細」「登録番号(法人番号)」の欄が新設されているのが特徴です。


収支内訳書には、従来よりある売上(収入)金額の明細、仕入金額の明細に加えて、新たに「登録番号(法人番号)」の欄が新設されています。


出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

納税地の特例等に関する手続の変更

令和5年1月1日以降、納税地の特例等に関する手続きの変更があります。


令和4年度税制改正により、納税義務者が納税地を異動または変更した場合の手続きに関して見直しがあり、以下の提出が不要となりました。


  • 所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書
  • 所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書


そのため、上記の提出の不要にともない、令和5年1月1日以降は異動または変更後の納税地を所得税または消費税の確定申告書に記載する手続きが必要です。


納税地の移動がある場合移動後の納税地を所得税または消費税の申告書に記載する
納税地の変更がある場合
変更後の納税地を所得税または消費税の申告書に記載する

ただし、送付先の変更などのために、年の途中で納税地の異動または変更をする場合は「所得税・消費税の納税地の異動または変更に関する申出書」を提出できます。


出典:納税地の特例等に関する手続の変更について|国税庁

申告書等用紙・納付書の送付が変更

令和5年4月以降、社会全体の効率化と行政コスト抑制のため、令和5年5月送付分の「申告書等用紙」から送付が取りやめになります。(ただし法人税予定申告書と消費税中間申告書については従来通り送付)


申告書等用紙が必要な場合は、国税庁のホームページからダウンロード可能ですが、可能な限りe-Taxによる提出が推奨されています。(とくにe-Taxにより提出が義務化されている法人は注意が必要)


また、「納付書」も同様に令和6年5月送付分からの対象者を見直し、以下の人には送付がおこなわれなくなります。


・e-Taxにより申告書を提出している法人や、e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人

・ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)、インターネットバンキングによる納付、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(二次元コード)などの「納付書」を使用しない手段を利用される人


納付書も申告書等用紙と同様に、キャッシュレス納付の利用が推奨されています。


出典:国税庁からのお知らせ|国税庁

確定申告書等作成コーナーの拡充

令和5年分の確定申告は、確定申告書等作成コーナーが拡充されます。


【おもな拡充ポイント】

  • マイナポータル連携による申告書の自動入力対象が拡大
  • インボイス発行事業者の消費税の申告書も対応(2割特例)


マイナポータル連携とは、所得税確定申告においてマイナポータル経由で控除証明書等のデータを一括で取得でき、さらに各種申告書の該当項目への自動入力も可能な機能です。


令和5年分の確定申告から、給与所得の源泉徴収票、国民年金基金掛金、iDeCo、小規模企業共済掛金がマイナポータル連携による申告書の自動入力対象となります。


そして、インボイス制度を機にインボイス発行事業者の登録を受けた免税事業者が受けられる消費税の負担軽減措置「2割特例」の申告書も確定申告書等作成コーナーで作成できるようになります。


2割特例の対象となる事業者は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間ごとに、通常の消費税の計算方式(一般課税、簡易課税)と2割特例を自由に選択可能です。


2割特例は、事前の届出と仕入れ税額の実学計算が不要であり、業種に関わらず売上税額の一律2割が納付する消費税となります。


そのため、確定申告書等作成コーナーにおいて、売上高(収入)等の入力だけで税額等が自動計算可能です。


出典:令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!|国税庁

出典:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁

財産債務調書制度および国外財産調書制度の改正

令和4年度税制改正により、財産債務調書制度および国外財産調書制度の変更があります。


財産債務調書制度と国外財産調書制度の提出期限は、事業年度の翌年3月15日(改正前)から翌年6月30日(改正後)に変更されました。


提出期限
財産債務調書制度
国外財産調書制度
改正前
事業年度の翌年3月15日
改正後
事業年度の翌年6月30日

また、財産債務調書の提出義務者は、以下のように従来の要件に加えて改正されます。

財産債務調書制度
提出義務者
改正前


・所得税の確定申告書を提出する必要がある人、または一定の所得税の還付申告書を提出できる人で①②を満たす人
①その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超える
②その年の12月31日においてその価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の有価証券等を有する
改正後


・所得税の確定申告書を提出する必要がある人、または一定の所得税の還付申告書を提出できる人で①②を満たす人
①その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超える
②その年の12月31日においてその価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の有価証券等を有する
・その年の12月31日において財産価額の合計額が10億円以上の人

出典:財産債務調書制度及び国外財産調書制度が改正されました|国税庁

フリーランスの確定申告に関するよくある質問


フリーランスの確定申告に関するよくある質問について解説していきます。確定申告はいくらから必要なのか、確定申告をしないとどうなるのかなどをQ&A形式でまとめたので、サクッと回答をチェックしたい方はぜひご覧ください。

フリーランスで確定申告しなくていい金額はいくら?

フリーランスや個人事業主で確定申告をしなくてもいい金額は48万円です。事業年度における所得が基礎控除の48万円以下である場合は、所得税が課税される金額が0円になるため確定申告の必要がありません。


つまり、収入(売上高)から必要経費を差し引いた所得金額が48万円を超えるかどうかが、フリーランスの確定申告が必要となるラインの1つになります。


出典:所得税のしくみ|国税庁

フリーランスで確定申告しないとどうなる?

確定申告の対象者であるフリーランスが確定申告しないと、無申告加算税や延滞税などが課せられます。


また、正当な理由がないにもかかわらず確定申告を提出しない場合は、単純無申告犯で刑事罰に科せられることになるので注意が必要です。


出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

出典:申告納税制度|国税庁

フリーランスの経費はいくらまで認められている?

フリーランスの必要経費はいくらまで認められるという上限はありません。事業に使用した必要経費であることを証明できれば、支出したすべてを経費にできます。


ただし、青色申告と白色申告では、事業に用いる資産を一括で減価償却できる上限金額、家事按分、青色事業専従者給与の経費計上の扱いに違いがあるので注意が必要です。

経費計上の違い
白色申告
青色申告
10万円以上の事業資産
一括で減価償却できない(10万円未満まで)
一括で減価償却できる(※30万円未満まで)
家事按分
事業にかかわる部分が50%以上を占めないと計上できない
事業にかかわる部分をすべて必要経費に計上できる
青色事業専従者給与
経費にできない(事業専従者控除は適用可能)
上限なしで全額必要経費に計上(妥当性が必要)

※平成18年4月1日から令和6年3月31日までに取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産


出典:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁

出典:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

個人事業主の場合いくらから確定申告するべき?

フリーランスや個人事業主は、事業年度における所得が基礎控除の48万円を超える場合は確定申告をしなければいけません。


事業年度における所得が48万円以下の場合は確定申告をしなくてもよいですが、確定申告をすることで以下のようなメリットがあります。


  • 還付申告により払い過ぎた税金が返ってくる場合がある
  • 純損失の繰越控除(赤字繰越)が受けられる
  • 要件を満たす所得控除や税額控除などが受けられる
  • 融資や賃貸などを利用する際の収入証明書になるなど


とくに、確定申告を青色申告することにより、特別控除や10万円以上の資産の減価償却などの優遇があるので積極的に活用しましょう。


出典:所得税のしくみ|国税庁

フリーランスは年収いくらから確定申告が必要?

フリーランスの年収(収入)から必要経費を差し引いた所得額が48万円を超える場合は、確定申告が必要です。


そのため、確定申告が必要になるフリーランスの年収は、事業年度における売上高と必要経費によりそれぞれ異なります。


出典:No.1199 基礎控除|国税庁

年収100万円以下のフリーランスは確定申告が不要?

年収(売上高)100万円以下のフリーランスでも、事業年度における所得額が48万円を超える場合は確定申告が必要です。


所得額は、事業年度における売上高から必要経費を差し引いて算出されます。


そのため、年収(売上高)100万円のフリーランスは、必要経費が52万円を超えるかどうかが確定申告が必要となるラインになります。


出典:No.1199 基礎控除|国税庁

フリーランスはいくらから確定申告が必要になるのか知っておきましょう


フリーランスとして働く人は、いくらから確定申告が必要になるのかを解説しました。基本的に、48万円以上から確定申告が必要となります。


ただしさまざまなケースがあるので、働き方や収入に合わせて確定申告をおこなうかどうか判断しましょう。確定申告が不要(対象外)であっても、確定申告を提出することで還付金が受け取れるケースもあります。


法律に基づいて作成する確定申告は、虚偽や記入漏れがないように注意して作成しましょう。

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この記事の監修

miraie miraie

株式会社Miraie

2007年設立のシステム開発会社。首都圏を中心にWeb・IT関連事業、コンサルティングサービス、人材派遣サービスなどを展開。 SES事業や受託開発などを中心にノウハウを蓄積しながら、関連事業へとビジネスの裾野を広げています。

監修者インフォメーション

所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-12-2 クロスオフィス渋谷6階(本社)
設立
2007年7月(3月決算)
従業員数
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