セキュリティエンジニアはなぜやめとけといわれる？業界の現状や将来性を交えつつ理由を徹底解説！

セキュリティエンジニアは企業や自治体などの機密情報やオンラインサービスを設計から運用、脆弱性対策まで、一気通貫で守る職種です。近年は、クラウド上で情報管理やオンラインサービスを展開するケースが多く、セキュリティエンジニアの需要が高いといえます。

しかし、セキュリティエンジニアに対して「やめとけ」という否定的な意見も多く、エンジニアのなかでも目指す方が少ないのが現状です。

高度な知識と経験を得るには時間と労力が必要なため、選択を誤るとキャリアが停滞しかねません。そのため、自分にとって適切な道を選ぶためにも、なぜ否定的な声が多いのか理解しておくことが大切です。

本記事では、セキュリティエンジニアがやめとけといわれる理由について、業界の現状や将来性を交えつつ解説します。

セキュリティエンジニアとは、システムやネットワークの安全を守るための設計や開発をおこなう仕事

セキュリティエンジニアとは、ITシステムや企業のサーバー、サービスに対してセキュリティを考慮して設計や運用をおこなう職種です。オンライン上では外部からの攻撃を受けるおそれもあり、このような脅威を未然に防ぐ役割も担っています。

近年はウイルス感染や情報漏洩などの被害が深刻化しており、多くの企業が対策を経営課題としてとらえているケースも少なくありません。その結果、セキュリティ人材の需要は高まり続けており、求人や案件も拡大傾向にあります。

このような背景から今後もWebサービスの増加にともない、セキュリティエンジニアの重要性はさらに増すでしょう。

【結論】セキュリティエンジニアは「業務の負担の大きさからやめとけ」という声が多い

セキュリティエンジニアは、企業のシステムやサービスを安全に運用するために欠かせない存在です。一方で、「やめておけ」という否定的な声も見られ、エンジニア志望者のなかには敬遠する方も少なくありません。

とくに、深夜のインシデント対応や、判断ミスが損害賠償に直結するなど、業務量や責任の重さに関する指摘が目立ちます。もちろん、将来性や社会的意義といった魅力も大きく、やりがいを感じて働いている方も多く存在します。

ただし、セキュリティエンジニアを目指す際は、安易な志望によって学習時間や労力が無駄にならないよう、マイナス面も理解したうえで検討することが重要です。

セキュリティエンジニアが「やめとけ」といわれる5つの理由

セキュリティエンジニアは、企業や団体が保有する情報やサービスを守る重要な役割を担っています。しかし、「やめておけ」といった否定的な声も一定数あり、志望者のなかには不安を感じてしまう方も少なくありません。

セキュリティエンジニアはやりがいのある職業ですが、現実とのギャップを知らずに目指すと、自分のイメージと現状でギャップが生じてしまう可能性があるのです。

正しく職業理解を深めるためには、なぜ「やめておけ」といわれているのかおさえておくことが大切です。

ここでは、セキュリティエンジニアが「やめとけ」といわれる理由について、以下5点を解説します。

1. 夜間や休日勤務が多い
2. 責任が重い
3. 必要なスキルが多く習得が難しい
4. 精神的な負担が大きい
5. 成功が形として残りにくい

①夜間や休日勤務が多い

セキュリティエンジニアは、24時間稼働のシステムを守ることもあるため、夜間や休日に出勤が求められるケースがあります。また、インシデント（情報セキュリティ上の脅威や問題）発生時は勤務時間外でも呼び出される可能性があり、生活リズムが崩れやすい点は大きな負担です。

そのため、家庭との両立やプライベートを優先するのは難しいと感じる方も少なくありません。

一方で、夜間対応ができる人材は希少性が高く、報酬面では優遇される傾向があります。負荷はあるものの、高年収や実績を重視する方には向いている働き方といえるでしょう。

②責任が重い

セキュリティ事故は、企業の信用と売上を一瞬で失わせる可能性があるため、セキュリティエンジニアの技量が重視されます。不備が発覚すれば、担当者に説明責任が及ぶケースもあり、プレッシャーを感じやすい職種といえるでしょう。

とくに、近年はサイバー攻撃やマルウェアの手口が多様化しており、企業の機密情報を守るには高度な知識と判断力が求められます。

「企業の守りの要」としての誇りが持てる反面、その重責ゆえに「精神的にきつい」と感じることも少なくありません。

③必要なスキルが多く習得が難しい

セキュリティエンジニアの仕事では、ネットワークやOS、クラウドなど、業務をおこなううえでおさえておくべき知識やスキルの量が膨大です。さらに、サイバー攻撃の手法も日々進化しており、対策も常に更新が求められます。

そのため、エンジニアになる前はもちろん、就職後も学び続ける姿勢が欠かせません。ときには検証環境を用意し、手を動かして試すことも必要です。

一方で、こうした努力を積み重ねることで技術に強くなり、変化の多い市場でも価値の高い人材として活躍しやすくなります。

④精神的な負担が大きい

セキュリティエンジニアの仕事は、トラブルがなければ成果が見えにくく、周囲から評価されにくい傾向があります。一方で、ひとたびインシデントが発生すれば、メディア対応や顧客への説明など多方面に責任がおよび、大きなプレッシャーにさらされます。

そのため、常に高い緊張感を強いられ、精神的に疲弊してしまうケースも少なくありません。

実際に業務をおこなう際は、タスクの分散やメンタルケアを意識し、特定の担当者に負荷が集中しない体制を整えてもらうことが大切です。

⑤成功が形として残りにくい

セキュリティ業務の成果は「問題が起きない」ことであり、開発やデザインのように目に見える成果物は残りません。そのため、周囲から評価されにくく、自己評価とのギャップに悩むことも少なくありません。

この課題を補うには、リスク低減額や防止件数を数値化し、定例会で共有するなど社内啓蒙を重ねることが重要です。

このように情報発信を継続することで、経営層も投資対効果を認識しやすくなり、待遇改善や予算獲得といった形で現場にも還元されやすくなります。

セキュリティエンジニアがおすすめな6つの理由

セキュリティエンジニアを目指すことに対しては、業務負荷や責任の重さなどから否定的な声もあります。しかし実際には、専門性や将来性など多くのメリットがあり、近年はセキュリティ分野の魅力に惹かれて目指す方も少なくありません。

ネガティブな意見だけに偏ると、セキュリティエンジニアの本質的なやりがいや自分に合ったキャリアの可能性を見落とすおそれがあります。そのため、判断材料としてポジティブな面も合わせておさえておくことが重要です。

ここでは、セキュリティエンジニアがおすすめな理由について、以下6点を解説します。

1. 市場価値の高い分野で働ける
2. キャリアパスが豊富である
3. スキルや実績によって年収が上がりやすい
4. 社会的意義を感じられる
5. 業種や業界を問わずニーズがある
6. フリーランスとして活動できる

①市場価値の高い分野で働ける

近年は、世界的にサイバー攻撃が増加していることから、企業は機密情報を守るため、経験豊富なセキュリティエンジニアを求めています。一方で、人材の絶対数が少ないことから、常に売り手市場となっており、優秀な人材には複数の選択肢があるのが現状です。

そのため、国内では正社員求人やフリーランスの案件も活発に募集されており、柔軟な働き方が可能です。

求められる知識は多いものの、セキュリティ分野はどの業界においても不可欠であり、今後も高い市場価値を保ち続ける職種といえるでしょう。

②キャリアパスが豊富である

セキュリティエンジニアは、エンジニア職のなかでも役割が細分化されているのが特徴です。たとえば、SOCアナリストやペネトレーター、セキュリティコンサルタントなどの多彩な職種があります。

このように、キャリアパスの選択肢が多いため、興味や得意分野に合わせて成長ルートを柔軟に描きやすいでしょう。

さらに、AI分野でもセキュリティの重要性が高まっており、セキュリティエンジニアの知識を活かして分野をまたいで活躍するケースも増えています。

③スキルや実績によって年収が上がりやすい

セキュリティエンジニアは、企業にとって「守りの要」であり、重要な役割を担っています。そのため、スキルのあるエンジニアは高年収を提示されるケースもあります。

実際にセキュリティエンジニアの年収は平均が約550万円と高く、経験や実績の豊富なエンジニアであれば800〜1,000万円もめずらしくはありません。さらに、夜勤や休日対応がある場合には手当が加算され、総収入が上がる傾向も見られます。

このように、スキルや働き方次第で収入を大きく伸ばせるため、収入面を重視する方に適しているといえるでしょう。

④社会的意義を感じられる

セキュリティエンジニアが守るのは企業の情報だけでなく、病院の電子カルテや銀行口座の残高などの生活基盤に直結するデータも含まれます。サイバー攻撃やウイルスを未然に防いだ結果、治療や金融取引が途切れず社会が平常運転を続けられる事実は大きな達成感を生みます。

とくに近年は、業界を問わず多くのデータがWeb上で保存されており、セキュリティエンジニアが守る領域も拡大中です。

このように、社会の安心を支えるという観点からも、数値では測れないやりがいを実感しやすいでしょう。

⑤業種や業界を問わずニーズがある

近年は製造工場のOT環境や農業のIoT化などが進み、IT以外の領域でもセキュリティエンジニアの需要が急速に高まっています。また、セキュリティ人材を含むエンジニア全体の不足も深刻化しており、多くの企業が人材確保に動いているのが現状です。

そのため、未経験からの挑戦は難しいものの、ほかのIT職種からセキュリティ分野に転身するケースも少なくありません。

こうした背景から、セキュリティエンジニアは働き方の選択肢が広く、スキルや実績に応じて希望に合ったキャリアを描きやすいといえるでしょう。

⑥フリーランスとして活動できる

セキュリティエンジニアは、会社員として働くだけではなく、フリーランスとして個人で案件を獲得して活動することも可能です。実務経験や専門スキルが豊富であれば高単価案件にも参画しやすく、年収1,000万円を超えるケースも少なくありません。

ただし、営業力や提案力といったビジネススキルも求められるため、すべての方に適しているわけではありません。それでも、働き方に大きな裁量が持てる点は魅力といえます。

正社員としての経験を活かし、独立を視野に入れるキャリアパスとして、現実的な選択肢に挙げられるでしょう。

【需要も】セキュリティエンジニアの将来性を知るための3つのポイント

セキュリティエンジニアは、専門性が高く、仕事に就くまでには長期的な学習や実務経験が求められる職種です。十分な将来性があるかどうかを見極めずに進路を選ぶと、後悔につながるおそれがあります。

また、近年はテクノロジーや社会の変化によりIT人材のニーズも変動しています。

自分にとって正しいキャリア設計をするためにも、取り組みに見合う将来性があるかどうかを事前に見極めておくことが、後悔を避けるうえでも重要です。

ここでは、セキュリティエンジニアの将来性について、以下3点を解説します。

1. エンジニア不足が続いている
2. セキュリティ問題について関心が高まっている
3. AIの進化にともない効率化が期待されている

セキュリティエンジニアの将来が気になる方は、ぜひ参考にしてください！

①エンジニア不足が続いている

近年は多くの業界で人手不足が深刻化しており、セキュリティエンジニアも例外ではありません。とくに、サイバーセキュリティ人材においては国内で10万人以上が不足しているとされ、官民をあげた人材確保の動きが続いています。

このような背景から、現在セキュリティエンジニアの需要は高まっており、求人やフリーランス案件も豊富です。

一定のスキルや実務経験があれば、自分に合った働き方や条件を選びやすい環境が整っているといえるでしょう。

②セキュリティ問題について関心が高まっている

現在では、企業の機密情報や顧客データをクラウド上に保管するケースが増えており、業種を問わずセキュリティ対策の重要性が高まっています。

とくに、ここ数年は大手企業がサイバー攻撃の被害を受ける事例も相次いでおり、あらゆる組織が標的となり得る状況です。

そのため、セキュリティ対策は経営レベルでの課題とされつつあり、IT部門に限らず全社員のセキュリティリテラシー向上を図る動きも進んでいます。

③AIの進化にともない効率化が期待されている

近年はAI技術の発展が著しく、セキュリティ対策においても活用される場面が増えています。実際に、一部の業務では自動化ツールや検知ツールなどでAIが一部導入されているケースもあります。

ただし、すべての業務をAIや機械に任せるのは現段階では難しく、細かい調整や判断が求められる場面では人の関与が不可欠です。

今後はAIを取り入れつつ、どの業務を効率化すべきかを見極めながら、業務設計や運用を最適化していく視点が重要になります。

セキュリティエンジニアを目指す際は向き不向きを考慮したうえで慎重に決断しましょう！

本記事では、セキュリティエンジニアがやめとけといわれる理由について、業界の現状や将来性を交えつつ解説しました。

セキュリティエンジニアは、業務量や責任の重さから「やめとけ」という否定的な声が多く、比較的開発系の職種が選ばれやすい傾向にあります。

しかし、クラウド活用やオンライン化が進む現代において、セキュリティエンジニアは情報やサービスを設計から防御まで支える重要な存在です。目に見える成果が少ない一方、人々の暮らしを守るという強い社会的意義を感じられる職種でもあります。

もし、セキュリティエンジニアを目指すのであれば、向き不向きが明確に分かれる職業であるため、良い意見と悪い意見の両方を確認し、慎重に検討することが重要です。

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